子どもに手がかからなくなる頃、パート勤務を始める人も少なくないと思います。
そんなときに考えるのが、扶養控除枠の「103万円」の壁です。この金額ですが、給与以外の交通費の扱いをどうするかでも違ってきます。
公共交通機関とマイカーとの違いもあるのでよく調べておきましょう。
Q、交通費は「入る・入らない」どっちか教えて!扶養控除の金額に含めるかどうか
扶養控除枠の103万は交通費込み?
来月から扶養控除内の範囲で仕事をすることになりました。
派遣で、交通費は別に支給してもらえるのですが、夫の会社では、交通費も課税対象で、交通費込で108万を超えたら扶養控除から外されるとのことでした。
ボーダーラインにいるので気がかり
色々調整してもらい、何とか交通費込で108万以内に収まるようにしてもらったのですが、世間一般で言う「扶養控除内」の103万は交通費は入れなくてもいいのでしょうか?私はずっと交通費は非課税だと思ってたので、ちょっと混乱しています。
ちなみに交通費を含めないと、103万以内に収まるのですが、交通費を入れると103万を超えてしまいます。
ご存知の方、どうぞ回答よろしくお願い致します。
補足
通勤は電車利用で、交通費は電車代の往復だけです。
- 夫の会社から、扶養控除は交通費込みと言われた
- 交通費の扱い次第で103万円を超えたり超えなかったり
被扶養者が仕事に就く場合、育児や家事の負担が大きく、短時間の勤務の場合は、必ずと言っていいほど考えるのが「扶養控除」ですね。103万円超えないよう、年末近くなるとお休みが多くなる人もいます。こんなに苦労して考えているのに交通費のことまで考えろと?
A、交通費の扱いはコレ!扶養控除の金額についての説明
通勤手当の課税分と非課税分の違い
電車がバスなどを使って通勤する場合には、月に10万円までは非課税です。
マイカーや自転車を使って通勤する場合には、距離によって非課税になる金額が決まっていて、それを超える部分が課税対象になります。
扶養配偶者の条件
扶養対象配偶者になれるのは、所得が38万円以下の配偶者です。
非課税通勤手当を除く給与収入(逆にいうと課税通勤手当を含めた給与収入)で103万円以下なら、所得が38万円以下になります。
源泉徴収票の「支払金額」には、非課税通勤手当を除く給与収入が記載されます。
補足拝見:
でしたら、あなたの通勤手当は非課税ですから、旦那さんが配偶者控除を使えるかどうかの判定には含めません。
会社が間違っています。
- 課税分と非課税分の違い
- 扶養対象者の所得は、非課税交通費は除く
公共交通機関を使っていればあまり悩まなくてもよさそうですが、自転車通勤者って結構多いのではないでしょうか?あくまで印象ですが。ボーダー超えるかどうかの心配するくらいなら「交通費要りません。」と言いたくなってしまいます。
交通費が「含まれる」か「含まれない」か教えて!扶養に関する金額の知識
扶養に関する「103万円」「130万円」に交通費は含まれる?含まれない?
まず、103万円。
こちらは交通費(非課税分のみ)は含みません。いわゆる課税所得が対象です。
電車・バス通勤者の非課税限度額は月10万円ですので、超える方はかなりの少数だと思いますが、
マイカー通勤者は、その通勤距離によって非課税限度額が意外に低めに設定されていますので、
きわどい方は要注意です。当然、超えた部分は課税対象となり、103万円の計算に含まれます。
130万円ラインでの考え方
次に、130万円。
こちらは交通費(課税・非課税とも)を含みます。ざっくり言えば総支給額です。
・・・
意外でした?
130万円に交通費は含む?含まない?の見解は、前述の通り、ネット上でもかなり割れています。
ですので、念のため年金事務所に電話で問い合わせた結果… 「含む」でした。
- 扶養控除限度額の103万円には交通費は含まない
- 社会保険料の扶養控除限度額130万円には交通費は含まれる
103万円とか130万円とか、ボーダーラインがたくさんあって、頭痛くなっちゃいますね。実はこの他にも配偶者特別控除の141万円ライン、そして2018年からは、150万円ラインもできます。これは配偶者の所得込の計算なので、なおややこしくなります。
「扶養内で働けるかどうか」が変わる!交通費の金額差で違いが…
不公平感は否めない
社会保険料の決定や130万円の判定において交通費が含まれるということは、
・同じ給与で同じ業務に従事していても、遠距離通勤者の方が社会保険料が高くなることがある
・同じ給与で同じ業務に従事するに当り、通勤距離により扶養範囲で働ける人と働けない人が出てくるということ。
電話した際、年金事務所の人に「不公平ですね」と楯突いてみましたが、軽くかわされました。
で、103万円のことを例に出してみても「そちらは管轄外ですので」と、軽くあしらわれました。
交通費以外の要素も考慮に入れる必要アリ
というわけで、
130万円の壁については、前述の通り「見込額」で申請する時点で曖昧さは回避できません。
また、社会保険については、130万円という金額面だけでなく、勤務日数・時間が常用正社員の4分の3以上となった時点で原則として加入義務が生じるという要件も併せ持っており、最終的にはそれらを総合的に判断しなければなりません。こうした性質上、交通費の扱いについてネット上で見解が割れるのも、何となく分かる気がしました。
あわせて、分かっていたことではありますが、縦割り行政を身近に実感できた筆者でした。
- 130万円判定には、通勤距離のハンデがある
- 交通費以外に、勤務日数・時間も併せての判断となる
所得は多いに越したことはないのですが、税金との相殺も考えると、むやみに多くを望めないというのは痛しかゆしですね。こうなると、やりたい仕事というよりは、条件に合う仕事というのが優先順位のトップに来てしまいそうです。
交通費に注意が必要な人!自転車・マイカー通勤の場合は必ずチェックしよう!
自転車・マイカー通勤者は要注意?
見落としがちなのが、自転車・マイカー通勤利用時の交通費です。
パートで働く場合に一番ありそうな状況ですが、自転車・マイカーで通勤手当が支給される場合、【片道の通勤距離限度額】を超える場合には、その【片道の通勤距離限度額】を超える金額に対しては課税されるので要注意です。
片道通勤距離限度額はいくら?
ちなみに国税庁の[平成26年4月1日現在法令等]によると、
【片道の通勤距離限度額】は以下のようになります。片道の通勤距離 1か月当たりの限度額
2キロメートル未満: (全額課税)
2キロメートル以上10キロメートル未満:4,100円
10キロメートル以上15キロメートル未満:6,500円
15キロメートル以上25キロメートル未満:11,300円
25キロメートル以上35キロメートル未満:16,100円
35キロメートル以上45キロメートル未満:20,900円
45キロメートル以上:24,500円こうしてみると電車などの交通機関を利用した場合に比べて何となくですが損な気がします。
パート勤務で注意が必要なのは「2キロメートル未満→(全額課税)」というところでしょうか。公共交通機関を利用した方が良さそうですね。
- 交通費支給の場合、片道の通勤距離限度額を超えると課税
- 2km未満は公共交通機関利用の方がお得?
自宅と勤務先が上手い具合に公共交通機関でつながっていればいいですが、便が少なかったり迂回したりの場合もあるでしょう。それに、保育園のお迎えを考えると自転車やマイカーの方が便利な場合もあるでしょうしね。ボーダーを超えなければいいんですが。